何度だってキミに、好きを届けたくて。
「練習試合の応援、絶対に来い」

「無理だよ。……私なんかが行っても、邪魔になるだけ」



そう言って私は再び歩き始めた。

ガタッと眞尋くんが椅子から立ち上がった音がする。

そのまま走るような足音が近づいて来たと思えば、私の左腕は眞尋くんに掴まれていた。

再び足が止まる。



「”私なんか”って言うなよ」



眞尋くんの少し怒ったような声。



「伊織にだって、いいところはたくさんあるんだよっ」



私の、いいところ?

……私にいいところなんてあるわけない。

うじうじしている自分も、行動することが出来ない自分も、意見をはっきり言えない自分も嫌いだ。

そんな自分が情けなくて私はうつむく。



「……”私なんか”って言って自分を否定するくらいなら、変わればいいじゃん」

「っ、」

「変わりたいと思うなら変わればいい。伊織は一生懸命で優しい奴だって、ちゃんと知っているからさ」



って、俺、なに言っているんだろうな。

そう言った眞尋くんに、ゆっくりと顔を向ける。

その頬は夕日のせいか赤く染まっていた。
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