何度だってキミに、好きを届けたくて。
私の腕をつかんでいない、もう片方の手で口を押えている眞尋くん。

彼が一生懸命に私に思いを伝えようとしてくれていることが分かる。

眞尋くんは部活を抜け出してまで、私のところまで来てくれた。


それは部活のため、春佳くんのためかもしれない。

だけど、私が気づいていない私のいいところも教えてくれた。


胸が熱くなる。



「私でも変われるかな……?」

「”伊織だから”変われるんだろ。もっと自分の価値を信じてやれよ」



私だから……。

自分の価値を信じる……。

眞尋くんの真っすぐな言葉に泣きそうになる。


……そうだよね。

自分の価値って自分で決めるものなのかもしれない。

”私なんか”って言い続けていたら、本当に自分の価値が分からなくなってしまうかもしれない。

それは嫌だ。
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