何度だってキミに、好きを届けたくて。
……助けてくれた?

眞尋くんは、春佳くんと向き合うことから逃げようとした私に気づいたのかもしれない。

私は、そんな眞尋くんに勇気をもらった。



「眞尋くん、おはようっ。……えっと、春佳くん、おはよう」



い、言えた。

凄くぎこちない『おはよう』だったかもしれないけど、自分から挨拶できた。

それだけでも嬉しかったのに、春佳くんは私の目を見てくれて。



「おはよ。……乃亜」



春佳くんもぎこちなかったけれど、返してくれた。

それに、私の名前を呼んでくれた。

”乃亜”って。

それが凄く嬉しくて、私は頬をほころばせた。

春佳くんの表情も柔らかくなったのが分かった。



「髪型、変えたんだね」

「うん。今日はちょっと頑張った」

「似合ってるよ」



春佳くんの言葉に心が躍る。

遅刻しそうになったけど、髪型に時間をかけてよかった、って思う。

私ってかなり単純なのかもしれない。
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