何度だってキミに、好きを届けたくて。
応援ムードから諦めムードになっている。

ギャラリーの諦めムードはきっと、コートまで届いている。

だって、さっきまでの気迫が伝わってこない。

このままじゃ、本当に負けちゃう……っ。



「乃亜……」



莉緒ちゃんが心配してくれる。

だけど、今の私は練習試合に集中したくて、私に出来ることを考えたくて、莉緒ちゃんの言葉に答えることが出来なかった。


どうしたら、バスケ部のみんながが頑張れる?

……私たちはなんのために、体育館に来たの?


そう思ったら、私が行動するまでの時間はかからなかった。

ギャラリーの手すりをぎゅっと握る。

すっと、息を吸って私は口を大きく開けた。



「南部中学バスケ部、頑張れーっ!」



私の声は予想以上に体育館に響いた。

ギャラリーが静まり返る。

冷ややかな視線が送られていることは伝わった。

隣にいた莉緒ちゃんも驚いた表情で私を見ていた。

だけど、周りの視線に負けたら応援できなくなる、と自分に言い聞かせて応援を続けた。
< 66 / 187 >

この作品をシェア

pagetop