何度だってキミに、好きを届けたくて。
「ごめん」

「え?」

「今日は乃亜と帰りたい」

「っ、」



私は驚いて春佳くんを見る。

春佳くんはもう一度『ごめん』と愛美さんに言った後、愛美さんの腕をさりげなく離した。

そして、くるりと私へ体を向ける。



「乃亜、一緒に帰ろ?」

「え、でも……」



愛美さんはいいのかな?

それに、莉緒ちゃんだって、眞尋くんや、他のバスケ部員たちだって……。



「あーっ。私、喫茶店に寄りたいかも! ってことで、乃亜、先に帰るね!」

「ちょっ。莉緒ちゃん!?」



莉緒ちゃんはそう言って、私に手を振って走って行ってしまった。

去り際に『頑張ってねっ』と耳打ちした莉緒ちゃん。

本当は喫茶店に行く用事はなかったんだろうけど、あえて私のために嘘をついてくれたのかな……。


私に気をつかわせないように、気をつかってくれてありがとう。

心の中で莉緒ちゃんにお礼を言う。

そんな莉緒ちゃんの気持ちも大切にしたいから、私は春佳くんに向き直る。
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