何度だってキミに、好きを届けたくて。
「全部拾えたかな?」

「えっ、あ、うん。これで全部……」

「じゃあ、次、体育館に移動だから行こ」



春佳くんがふわりと立ち上がった。

そのときに微かに鼻をかすめる柔軟剤の香り。

柔軟剤の香りまで優しい……。

って、私はなに考えてんのっ!



「ぼーっとしてないで行くぞ」



眞尋くんも私に声をかけてくれる。

そうだよね。

もたもたしてないで体育の準備しなくちゃ……、と思って立ち上がる。


だけど。



「あ。乃亜は瀧本さんと一緒に行くのかな?」



私は考えていたことを春佳くんに言われてしまって少し驚く。

戸惑いながらも私は、こくん、と頷く。

瀧本 莉緒ちゃんは私の唯一の友達だ。

同じクラスで独りぼっちだった私によく話しかけてくれた子。
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