何度だってキミに、好きを届けたくて。
「乃亜にはバレちゃうか」



そう言った春佳くんは痛々しく笑った。

先ほどまでの笑顔とは違う笑顔。

部活の仲間に見せていた表情とも、今まで私が見てきた表情とも違かった。



「みんなの前では笑っていたけど、今も悔しいんだよな」

「……」


「もっと俺の足は動けるはずだろ、体力なさすぎ、ってさ」



試合中の春佳くんのプレーを思い出す。

確かに、足は速かったと思う。

シュートも決めていたと思う。

だけど、そのせいなのか、試合後半は動きが鈍くなっているようにも見えた。

見ているときは応援で精一杯だったからよく分からないけれど、春佳くんの言葉を聞けば納得がいく気もした。



「夜もランニングしているんだけどなー」

「そうなの?」

「うん。ちょうど、このコースを1人で走っているんだ」



このコース、というのは川沿いの歩道のことだよね。


夜、1人でトレーニングしているんだ……。

凄いなぁ、と感心する私。
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