何度だってキミに、好きを届けたくて。
夜。

私はお母さんに『ランニングしてくる』と言って、家を出た。

ジャージ姿の私は、小走りで、あの川沿いの歩道に向かう。


春佳くん、いるかな……っ。

ジョギング程度のスピードなのに、すでに息を切らし始めている私。

春佳くんの練習を私も一緒にしようと思ったけれど、これじゃあ邪魔になっちゃうかな?


なんて思っていたら川沿いまでたどり着いた。

立ち止まって首にかけていたタオルで顔を拭く。



「はぁっ、はぁっ……」



ところどころにある街灯が道を照らしている。

人気の少ないこの道は、なんだか不気味に感じる。


春佳くん、よく1人でこの夜の道を走れるなぁ……。

なんて、感心しながらきょろきょろしていると。

川沿いの奥にある橋の方向から、ひとりランニングをしている人の姿が見えた。

こちらに向かって走ってくる人影。
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