何度だってキミに、好きを届けたくて。
春佳くんかな……?


手を振りたい。

だけど、人違いだったらどうしよう。

結局私はその人影が近づくのを待つことにした。


タッタッタッ。

足音がすぐ近くにやってきた。

街灯に照らされてその人の姿がはっきり見えた。


その姿はやっぱり……。



「……春佳くん」

「乃亜!? なんでここに!?」



春佳くんは心底驚いたような表情をして、足を止めた。

春佳くんの額に浮かんでいる汗。

この川沿いを何往復したら、そんなに汗をかくんだろう……。



「私も一緒に練習しようかなぁって思って。あっ、邪魔だったら言ってねっ!」



そう言葉にする私の心臓はドキドキしていた。

春佳くんになんて言われるだろうか。

断られたら、そのまま帰るしかない。

だけど、一緒に練習してもいいって言ってくれたら、嬉しい。


そう思っていると、春佳くんは首にかけてあるタオルで顔を拭きながら笑顔を向けてくれた。
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