何度だってキミに、好きを届けたくて。
「って、俺、考えるのは乃亜のことばかりだよ」

「それってどういう……、」



隣を見ると春佳くんの切なげな横顔があった。

だけど、街灯に照らされたその横顔は美しく見えた。



「乃亜の告白を断っておいて調子良いこと言ってるよな」



そんなことない。

告白したことで春佳くんの頭の中に、私が少しでも残ってくれるのなら凄く嬉しい。

告白してよかったと思える。

それに、こうして一緒にランニングもさせてくれる。

告白した私を避けたりしない、そんな春佳くんのことも好き。



「なんか、ごめんな」

「地区予選、頑張ろうねっ」



私は謝る春佳くんの言葉にかぶせるように、私は声を出した。

1か月後の土曜日に地区予選があるって、今日の練習試合で応援に来ていた女の子たちが話していたのを耳にした。

春佳くんには精一杯、地区予選で力を発揮して欲しい。

だから、私に対して『ごめんね』なんて思っている時間を作ってほしくない。

そのために春佳くんはトレーニングを頑張っているんだから。
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