何度だってキミに、好きを届けたくて。
『さっきの話。瀧本さんがどうして乃亜を喫茶店に誘ったのか、聞いてみてもいいんじゃないかな』



莉緒ちゃんはきっと、喫茶店の店員さんの市川さんを見たいだけじゃ……。

と、一瞬頭の中でよぎったけれど、それはすぐに違うと思った。


莉緒ちゃんはそんな子じゃない。

莉緒ちゃんは誰かのことを思いやれる優しい女の子だから、私を喫茶店に誘ったのも理由があるのかもしれない。

それと眞尋くんと莉緒ちゃんの言葉を思い出す。


確かに、私は自分がどうしたいのか、ちゃんと気持ちを伝えられてなかった。

自分の考えていること、話すこともしなかった。


まずは自分の気持ちを伝えよう。

莉緒ちゃんと喫茶店に行きたいって、伝えよう。


キーンコーン。

私はホームルーム終了のチャイムと同時に席を立って、莉緒ちゃんの席へと向かう。



「莉緒ちゃんっ」

「……乃亜」

「私、作文のことで頭がいっぱいで余裕がなかったの」



前置きもない私の言葉に、莉緒ちゃんは一瞬戸惑いを見せたが、ちゃんと私の目を見てくれている。

話を聞こうとしてくれていることが伝わるからか、私の言葉はすらすらと出てくる。
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