何度だってキミに、好きを届けたくて。
私はメモ用紙をぎゅっと握りしめて、教室を飛び出した。

莉緒ちゃんがどっちの方向に向かったのかなんて分からない。

だけど、今は足を動かすしかないんだ。


階段の前で立ち止まる。

屋上に続く階段か、下の階へと下る階段を進むか悩んでいると、後ろから聞き覚えのある透き通った声が聞こえた。



「伊織さん?」



振り返ると、そこには首をちょこんと傾げた愛美さんが立っていた。



「愛美さん……」

「あ、私名前、知っていてくれたんだぁ? この前は練習試合の応援に来てくれてありがとうーっ」



愛らしい表情で近づく愛美さんは、私の手をぎゅっと握った。

やっぱり、美少女……。



「伊織さんってぇ、春佳とどういう関係ー?」

「クラスメイト、だよ」

「それにしては仲良さそうじゃんーっ。周りには内緒にしているだけで付き合っているとか?」

「違うよっ。付き合っていないよ……」
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