お邪魔虫にハッピーエンドを
幸せそうに笑い合うふたり。
私がよく読む少女漫画の、一番重要な展開、ハッピーエンドまっしぐらの光景だ。
ふと、思う。
この状況をそれに当てはめるのなら、私は白田さんのライバルで、そして恋に破れた邪魔者キャラ。
結ばれた二人の間に入り込む隙なんてない。
気持ちを伝えて恋が成就された瞬間、私は景にとってこの先ただの幼なじみ。
その枠組みから出ることはできない。
……頑張って、作ったんだけどなぁ。
思わず手に力が入って、持っていた箱がぐしゃりと潰れる。
地面に転がった手作りチョコレートは、伝えられなかった私の初恋のように惨めだった。
「……もう、部活は終わりなんだ。だから、一緒に帰らないか? 送っていくから」
「あ、ありがとう」
景と白田さんの声が聞こえてハッとする。
ここは校舎裏。出るには私が立っている通路を通らないといけない。
「……っ!」
このままだと遭遇してしまう。
私は慌てて箱を持ち直して、二人から逃げるように教室へと走った。