お邪魔虫にハッピーエンドを
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新学期初日。
色んな意味で気合いを入れようと、少し早起きして身支度を整えた。
美は一日にして成らず。
まずは温かい飲み物を飲みながらゆっくりストレッチ。
それから顔を洗って、メイクタイム。
中央高校は校則がゆるめなのでばっちりメイクをしてる可愛い子がたくさんいる。
さすがに付けまつげとか、派手なカラコンを入れるまではしないけど、私もそれなりに顔を整えたくて、鏡の前で集中する。
特に、目。
私にとって一番重要な箇所。
目というか、目尻なんだけど。
もともと少しタレ目ぎみな目尻。
小学校と中学校は、このパーツがより気弱な印象に見えてしまい、体型のことをいじられていた。特に小学校のとき……はあ、小学生男子ってなんであんなに残酷なんだろう。
そんな苦い記憶があるからか、目尻はいつも釣り気味にしてる。猫みたいなイメージで。
たんにアイライナーで引くんじゃなくて、自然に見えるようにブラウンのアイシャドウで丁寧に作ってる。
こうすることで、学校での自分のスイッチが入るんだよね。
あとは透明マスカラと、血色を良く見せるリップ。
透明マスカラが乾いたあと、ビューラーで軽くまつ毛を持ち上げて、完成。
今日も一日、頑張ろう。
「行ってきます!」
制服に袖を通した私は、ぎゅっと手を握って家を出た。
(ちょ……とっ、どんなクラス分け!?)
今日から二年生ということで、校舎前でクラス表を確認していた私は、登校して早々に頭を抱えそうになった。
(景と、白田さんと……蓮見くんまでいるんだけど!!)
最悪だ。
蓮見くんとはあのバレンタインデー以来、一度も顔を合わせていなかったのに。
どうして七組もクラスがあるのにこうも集まってしまったんだろう。
ひとまずユキにメッセージを送って……。
特進科のユキはクラス替えがなくて、もう特進科の校舎にいる。
一年生のときに一緒のグループだった子たちとも別のクラスなので、また一から頑張らないと。
「ラッキー!! オレ今年、逢沢ちゃんと一緒じゃん!」
「だいぶうるさいよ、コータ」
「いやいやだって、あの逢沢ちゃんだぜ!? アメリカ帰りの帰国子女、学校一の美人!」
「へー、そんなに嬉しい?」
「あたりめぇじゃ! いや待てよ、このクラス……叶芽に桜葉……柊弥までいるとか、顔面偏差値爆上がりじゃんか! くそー、終わったオレのモテ期!」
「諦めたらそこで試合終了って言うでしょ。もっと希望持ちなよ」
「女好きの遊び人なお前には言われたくねえ! なあ、柊弥」
「いや……最近の叶芽は大人しめじゃん? 女の子も取っかえ引っ変えしなくなったし」
後ろから聞こえてきた賑やかな会話。
私の苗字も出てきたので、思わず振り返ってしまう。