お邪魔虫にハッピーエンドを
そこには、蓮見くんと、その友達の二人が立っていた。
やばい、気まずい。
「あ、噂をすれば」
「えっ、逢沢ちゃんじゃん!」
「……おはよう。えっと、話し声聞こえたんだけど、同じクラスなんだよね。よろしくね」
ひらひらと片手をあげて挨拶する。
愛想良くフットワーク軽めのキャラを意識。こうして友好的でいたほうが学校生活は過ごしやすい。
「おはようはじめましてよろしく! オレは羽鳥康太、コータって呼んでくれな!」
「コータくん、こちらこそー」
「ほら、叶芽と柊弥も自己紹介しようぜ!」
「……。逢沢さん、俺のことは知ってるよね?」
こんなところで自己紹介が始まるとは思わなかった。
そして、コータくんに脇を突かれた蓮見くんは、にこりと貼り付けたような笑顔を向けてくる。
「うん、知ってるよ。蓮見くん。だから自己紹介は大丈夫」
なんだか圧を感じて、私も似たような笑顔を返した。
これ絶対、敵意でしょ……!
「俺、宇賀時。それより……そろそろ教室行かないと、ホームルーム始まるんじゃない?」
さらっと苗字だけ言ったのは、コータくんに柊弥と呼ばれていた宇賀時くんだった。
たしかに私も結構時間ぎりぎりに来たから、ゆっくりしてる場合じゃなかった。
「逢沢さんと同じクラスとか、思ってなかったな。一年間、よろしく」
「……こちらこそ」
蓮見くん……よろしくする気なさそうな顔で言われても、返答に困るんですけど。