真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
「――で? 水着を選びたいんだっけ?」
腰に手を当てて尋ねてくる木葉ちゃんに、わたしはしっかりと頷いた。
去年までは自分の好きなものを選んでたけど、今年はそうじゃいけないと思って。
というわけで、今回は恋愛歴において先輩の木葉ちゃんにご教示願います。
ショッピングモールの水着売り場。木葉ちゃんは色とりどりに並んだ水着をぐるりと見回して、最後にわたしを目に留めた。
「……ちなみに、どういう目的で着たいわけ?」
「え?」
目的?
水着なんだから、水場で着るため以外にあるのかな?
木葉ちゃんは目を薄めて、わたしの体をじろじろと見定めてくる。
「な、なに~? サイズは自分でわかってるよ~?」
「最近のあんた達……なんかみょーににおうんだけど」
「え、わ、わたし、臭いかなぁ!?」
ちゃんとお風呂は入ってるよ!?
制汗剤も使ってるよ!?
「しかも変なところ無垢なんだよね……」
「うん、お風呂で垢は落としてるつもりだよ!?」
半袖から伸びる自分の腕を近付けて、一瞬嗅いでみる。
無臭だ。
いやでも、自分の臭いはわからないっていうよねぇ……。
木葉ちゃんが指摘してくれてよかったのかも。
「違うって」
応急措置としてカバンからデオドラントスプレーを取り出そうとしていた腕を、木葉ちゃんにガシッと掴まれた。