真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
買い物を済ませて売り場を出たわたしと木葉ちゃんは、やけに息を切らしていた。
水着選びってこんなに難しいものだったんだねぇ……。
そのおかげか良いものは買えたと思うから、一悟くんに見せるのが楽しみではあるけど。
「ぜぇ、はぁ……める、ちょっと休憩しない?」
「だねぇ……その前に、お手洗い行ってきてもいい?」
「おっけ、あそこのカフェ入ってる」
「わかった~」
木葉ちゃんに手を振って一旦別れる。
近くのお手洗いを探して視線を動かしていると、たまたまペットショップが目に入った。
み、見たい、けど、今は木葉ちゃんを待たせてるからまた今度にしなきゃ。
後ろ髪を引かれつつ別方向に進もうとしたら、次はたまたまそのペットショップに有明くんがいるのが目に入った。
のああ……足が勝手にペットショップに吸い込まれていくよぉ……。
「あ、有明くん偶然だね~、お買い物~?」
木葉ちゃんには悪いけど、ちょっとだけ……。知り合いを見かけたら話しかけちゃうのは仕方ないと思うんだけど、どうかなぁ?
誰にするわけでもない言い訳を考えながら有明くんの元へとたどり着く。
有明くんはわたしに気付いてこっちを向いた。
「ん……あぁ、羽入さん」
「猫見てたの~?」
「そうだな、猫……」
言いかけて、少し考える素振りをした後。
「――いや、和泉さんのことを考えていた」