真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 ドアを閉めた玄関で。


「……えっと」


 一悟くんがぎこちなくこちらを振り向く。


「外、暑かった、よね?」

「夏だからねぇ」

「あ、汗、かいてますか?」


 その質問でピンと来た。


 彼はきちんと約束を守ろうとしてくれてるんだ。


 だから会った瞬間から緊張してる様子だったんだね。


 そんな勇気を無駄にしたくない。わたしは手でパタパタと顔を扇いだ。


「ちょっとかいちゃってるかも……一悟くんは?」

「お、俺はまさに今、滝のように溢れてきているところで……」

「っふふ、そうみたいだねぇ~」


 言葉通りすぎて、思わず笑ってしまう。


 一悟くんにもパタパタと風を送った。


「あ、ありがとう……それで、その」

「うん、連れてって~?」

「……はい」


 震えた手に案内されて廊下を進んでいく。


 後ろから見る真っ赤な耳が、わたしの胸をたまらなくきゅんとさせた。


 頑張ってくれる一悟くん、好き……♡


「あのね一悟くん、実はわたし」


 ここまで声をかけたけど、タイミングを間違えたことに気付いた。


「あ、ごめん、服を脱いだ後に言うね?」

「ちょっと!? や、やめて!? 今言って!?」

「いいからいいから~」

「よくないよ! 引き返すなら今なんだよ!?」

「この道は一方通行で~す」

「もおおおお……っ」


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