真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
「…………すごぉ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ボタンを留めながら、鏡越しに見る自分の首回りから目が離せない。
「随分情熱的だったんだねぇ、一悟くん」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
後ろで腰を九十度に曲げてお辞儀してくる一悟くんは、壊れちゃったみたいで同じことしか言わない。
わたし全然怒ってないのに。
隠すのはちょっと大変そうだけど……この、おびただしいキスマークの量は。
「や~なんか、生々しくて、思い出すと恥ずかしいね?」
「完全にやりすぎました反省してますごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「もぉ~……」
怒ってないって~。
鏡越しじゃなくて、実体の一悟くんを見るために振り返る。
撫でやすい位置に用意された頭を、今回は――
「チョップ!」
「いたっ、えっ、羽入さん?」
「謝りすぎの罰だよっ!」
怒ってないはずなのに、謝られすぎて怒っちゃうよっ!
「ごめんなさい……」
「もう謝っちゃだめ~っ! 謝られることなんて、なんにもされてないから~っ!」
「……は、はい」
よろしい。頷いた頭は撫でてあげちゃうよ。
「ふふ、一緒にシャワー浴びただけなのに大げさすぎだよ~?」
「え、だ、『だけ』? 羽入さんにとって『だけ』の内なの?」
「そうじゃないの?」
「えっえっえっえっ、ならその痕はなんだと……?」
「スキンシップでしょ?」
「………………」
なんで黙っちゃうの?