真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
動かなくなった一悟くんのほっぺをふにふにとつつく。
わ、きもちい。新たな癒しポイント発見だなぁ。
「……またそうやって、羽入さんだけ余裕で……」
「っきゃ!?」
突然抱き上げられて目線が一悟くんより上になる。
「ぜんっぜん懲りてないね、羽入さん」
彼の額には怒りマークが浮かんでいた。
えぇ!? さっきまで怒ってたの、わたしだったよねぇ!?
カバンも引ったくられ、無言で階段を上っていく一悟くん。
わたしはぎゅっと首に腕を回して抱き付いた。
お、怒られちゃった……。
今までも可愛い罵倒はあったんだけど、今回はなんだか本気っぽいよね。
失礼ながら怖くはないんだけど、どんなことをされるのかドキドキしてしまう。
あっ、こういう態度がダメなんだよね? 期待しちゃってるのがダメなんだよね……。
「一悟くん……優しくしてね?」
「っ、……」
一瞬反応したものの、返事はしてくれない。
うう、無視が一番悲しいかも……。
諦めて、おとなしく身を任せることにした。