真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 一悟くんの部屋は冷房が効いていて涼しかった。


 涼しいね~なんて感想を言う暇もなく、ベッドに降ろされる。


 そのとき、あちこちから一悟くんの香りがふわりと漂ってきて。


 苦しいくらいに幸せが押し寄せてきた。


 これ……だめ、かも……。


 だめかも……喜んじゃうよ……っ!


 顔がにやけないように筋肉を強張らせる。


 ぎゅーっと目をつむった。


「はぁ、羽入さん……」


 一悟くんが覆い被さってくる影を感じる。


 落ち着けわたし。落ち着けわたし。


 全方位から一悟くんの香りが襲ってくるけど、今からきっとお説教されるんだよ。


「可愛い……」


 甘い言葉を囁かれても、罠だから笑っちゃいけないんだよ。


「……はむ」

「ひぇっ!?」


 耳を食べられたよ!?


 思わず出てしまった声を、慌ててなかったことにしようとして。


 口を塞ぐための腕を、一悟くんに押さえられた。


 よ、余計なことしてもダメってことだね……!


 一悟くんはそのまま耳を舐めたり、吸ったり、噛んだり、やりたい放題し始める。


「……っ、っは、んっ」


 わたしは声を自力で堪えるのに必死だ。


 耳元で響く水音が、理性をぐらぐらと揺らす。


 ……好きって、言ってほしいな。


 これはおしおきだから、こんなことねだるべきじゃないのはわかってるけど。


 好きって言われたら、めちゃくちゃ気持ちいいんだろうなぁ……。


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