真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 希望通り髪を撫で付けていると俺の方に倒れ込んできたので、胸で受け止めた。


「……んふふ、くふっ」


 彼女は突然笑い出す。


 堪えていたものが漏れたような笑い方。こういうときは、大抵何かを思い出して笑っているに違いない。


 何を言っても返り討ちに遭う未来しか見えないから、俺は無言で髪を整え続ける。


「ふ、くふふっ……」


 肩にこぼれた髪を持ち上げたそこには、俺が付けた赤い印が散見された。


 全部のボタンを留めててこれだからなぁ……。


 それより下を想像してしまって、ごくりと生唾を飲み込む。


 や、ば……またキスしたくなってきた……。


 ガツガツしすぎて引かれたくないのに、羽入さんの前だとそんなことどうでもよくなってしまう。


 これも、羽入さんが俺を一回も拒否しないで甘やかした結果だよ。


 責任、取って。


 柔らかい感触を何度か楽しんで、離れる。


「唇ふやけちゃうよ~」

「……そしたら、舐めて治してあげる」

「意味ないねぇ~」


 クスクス笑って抱きついてくる羽入さん。


「は~。おなかすいたなぁ~」


 そんなことを言うから、腰に回そうと思っていた手を止めた。


 確かに、もうお昼の時間だ。


 三大欲求の内の食欲を優先させるため、俺は羽入さんに触れるのを我慢することにする。


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