真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


「何か食べに行く? それとも、作ろうか?」


 簡単なものを作れるくらいは冷蔵庫に入っていたはず。


 食べに行った方が確実に美味しいものは味わえるだろうけど。


 でも正直、今の羽入さんを外に連れ出すのは危険な気がする。もちろん、首の痕は隠すとしてもだ。


「え~! 一悟くんの手料理、食べたい!」


 だからこう言ってくれてめちゃくちゃほっとした。


 何を作ろうかな……と思い巡らせていると、「あっ」と羽入さんが離れて自分のカバンを探り出す。


「そうだった。わたし、クッキー作ってきたんだ~。食後のおやつにしよ?」


 そして可愛らしくラッピングされた袋を取り出した。


「羽入さんが作ったクッキー!?」

「初めて作ったよ~」

「えっ!」

「味見はちゃんとしたから、食べられるものではあるよ~」

「お、おお……!?」


 初めてを俺が食べていいんだ……!


「は、早く食べたい。から、早くご飯にしよう」


 勢いよく立ち上がる。


 俺も気合い入れて美味しいご飯作らないと!


「ふふ、わたしも手伝う~」


 二人で拳を胸の前に掲げた。


 一緒にご飯を作るって、なんか同棲してるみたいでいいな……。


 同じ家に住んでたら、無条件で毎日顔を合わせられるんだ。


「結婚したい……」


 はっ、心の声が洩れてしまった。


「う~ん、いつにしようねぇ? やっぱり社会でそれなりに経験を積んでからがいいんじゃないかなぁ?」

「へっ? ……あっ!? け、結婚が!?」

「? うん、そうだよ~」


 こ、この子、ほんとになんでさらっとこういうこと言えるんだろう。


 はぁ、言った本人はきょとんとしてるし……。


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