真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


『┿└┣┨∮キ』


 ……暗号?


「一悟くん、書き終わっちゃったよ?」


 気付かない内に早押しの意味をなさなくなっていた。


「え、えっと……」


 なんなんだこれは。


 なんにも思い浮かばない。


 シン、と辺りが静まり返る。


「…………やらない方がよかったね」

「いぃ、いやっ!? 嬉しいよ!?」


 俺のリアクションが悪かったから、変な空気にしてしまった!


 これは意地でも正解しないと……!


「ヒントは……四文字のひらがな……」


 気まずい表情で目を逸らした羽入さんがポツリと呟く。


「ヒントは、わたしが常日頃考えてること……」


 制限時間があるタイプのクイズだ。


 三つくらい出たら制限時間が終わってしまう。


「ヒント……一悟くんもさっきいっぱいくれた……」


 まずい! たぶん十秒くらいしか残ってない!


 考えろ、頭をフル回転させろ。


 最後のは『き』! これは自信がある! カタカナに見えたけど、羽入さんがひらがなだと言うんだからひらがなの『き』だ!


 なら、その隣は!? 丸が付いてるけど、真ん中辺りにあるから『す』か!?


 ――『す』『き』!?


 すきの前に二文字付く言葉で、俺も羽入さんにいっぱいあげたといえば――!?


 テーブルの上の、エア早押しボタンを叩く。


 バンッ!






「だっ、『だいすき』!」





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