真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
 



「いただきます」

「いただきま~す」


 冷めない内に食べた愛情たっぷりオムライスは格別で、思わず顔が綻んだ。


 羽入さんはどうかな、と様子を窺ってみる。


「んん~! おいし~! できたての手作りご飯なんて久しぶりに食べたかも!」

「よかった」


 頬に手を当てて笑う姿に嬉しくなる。


 でも……あれ? 羽入さんの言葉、何か引っかかるな。


「あ……家では作り置きしてくれてるの?」

「そうなんだよねぇ。基本的に生活リズムが合わないから、寝て起きたらいろいろ出来上がってることが多くて」

「へ、へぇ……」


 羽入さんの家族の話。そういえば初めて聞いたかも。


 どんな人なんだろうと興味が出てくる一方、踏み込んでもいい話題なのか迷う。


「だから、お泊まりはいつでも大歓迎だよ?」

「へっ……!?」


 急にからかってくるから身構えてなかった。


 ニコニコしている羽入さんが、どことなく寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。


 生活リズムが合わなくて、泊まっても問題ないってことは……あんまり家にも帰ってこないってことなのかな。


 だったら……。


「迷惑じゃなかったら、俺もいつでも……羽入さんと一緒にいたい」


 今日みたいなこと、たくさんできたら最高だ。


 ……いや、その。扇情的なことばっかりじゃなくてもね。


 羽入さんの空いている隙間を、全部俺が埋めたいから。


 って、これただの俺の想像だから、実際どうかはわからないんだけど。


 それでも。


「ふふ、夏休み中は毎日いてくれてもいいよ?」


 嬉しそうにしてくれる羽入さんが見られるなら、勘違いでもいいかなぁ。


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