真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
オムライスを食べ終わったら、お待ちかねのおやつの時間。
ソファに並んで座りながら、テレビ観賞に興じて。
袋の中からクッキーを一つ摘まんだ羽入さんが、俺の口まで持ってきてくれる。
「はい一悟くん、あ~ん」
「あ、あー……」
は、恥ずかしい……。
「口に合わなかったら言ってくれていいからね?」
「ううん……おいしい」
ふんわりと甘くて、優しい食感。
初めてとは思えない出来だ。
俺も作ったことはあるけど、料理と違って目分量だと失敗しやすいから苦手なんだよなぁ。
「ほんと? よかったぁ~。もっと食べてっ」
「う、うん」
また直接持ってきてくれる。
「えと、自分で食べられるけど……」
なんか、餌付けされてるみたいでちょっと……。
視線を逸らした先にはモカがいた。
『嬉しいくせに意地を張るな』と丸い瞳が語りかけて来ている気がする。
うっ、その通りではあるんだけど。
「だめなの?」
さらに羽入さんに甘えた顔で首を傾げられたら、断れないんだけど……!
ここに俺の味方はいないみたいだ。
俺本人ですら、『役得を拒否する必要はあるのか?』なんて心の奥で感じてしまっている。
完全敗北です。
「食べさせてほしいです……」
「っふふ、だよねぇ~?」
くっ、楽しく弄ばれてるっ……!
でも正直嬉しくはある……!