真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 オムライスを食べ終わったら、お待ちかねのおやつの時間。


 ソファに並んで座りながら、テレビ観賞に興じて。


 袋の中からクッキーを一つ摘まんだ羽入さんが、俺の口まで持ってきてくれる。


「はい一悟くん、あ~ん」

「あ、あー……」


 は、恥ずかしい……。


「口に合わなかったら言ってくれていいからね?」

「ううん……おいしい」


 ふんわりと甘くて、優しい食感。


 初めてとは思えない出来だ。


 俺も作ったことはあるけど、料理と違って目分量だと失敗しやすいから苦手なんだよなぁ。


「ほんと? よかったぁ~。もっと食べてっ」

「う、うん」


 また直接持ってきてくれる。


「えと、自分で食べられるけど……」


 なんか、餌付けされてるみたいでちょっと……。


 視線を逸らした先にはモカがいた。


 『嬉しいくせに意地を張るな』と丸い瞳が語りかけて来ている気がする。


 うっ、その通りではあるんだけど。


「だめなの?」


 さらに羽入さんに甘えた顔で首を傾げられたら、断れないんだけど……!


 ここに俺の味方はいないみたいだ。


 俺本人ですら、『役得を拒否する必要はあるのか?』なんて心の奥で感じてしまっている。


 完全敗北です。


「食べさせてほしいです……」

「っふふ、だよねぇ~?」


 くっ、楽しく弄ばれてるっ……!


 でも正直嬉しくはある……!


< 130 / 167 >

この作品をシェア

pagetop