真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


『そんなこと言われても、頭真っ白で何も思い付かないんだからこっちも困ってんのぉ……』


 泣きそうな声色だ。また有明くんが来る前に、一つくらいは何か言っておきたいな。


「質問をたくさんすればいいんじゃないかなぁ?」

『あたし、別に有明と会話続けたいわけじゃないんだけど!』

「え~? 続けてみてもいいと思うよ?」


 ずっとは難しいかもしれないけど、せっかく二人でいるんだったらしてみてもいいんじゃないかなぁ。


『…………』


 黙り込む木葉ちゃん。


 木葉ちゃんだって、有明くんと仲良くするのが嫌なわけじゃないだろうし。


 勇気がちょっと足りないだけなんだよね。


 木葉ちゃんが悩んでいる間に、ファミレスの前に着いた。一悟くんが笑顔でこっちに気付く。


「あ、一悟く~ん。ちょっとごめんね、木葉ちゃんと話してて」


 少しだけ待って、と伝えると頷いてくれた。


『なっ、電話しながらデートしてんの!? ごめん、切る!』

「あ~待って待って、最後に有明くんと話させてくれないかな?」

『えっ、有明と? あ、戻ってきた……』

「代わってもらえる?」

『い、いいけど……?』


 軽いやり取りの後、戸惑ったような有明くんが電話に出る。


『羽入さん? 俺に何か用だろうか』

「ぴったりな言葉見つかった~?」

『!』


 なんか有明くんの行動、引っかかってるんだよね~。


 木葉ちゃんと一緒にいようとしてるというか。


 木葉ちゃんが先輩達のところに戻りたがってるのは態度でわかりやすいはずなのに、探そうとしないから。


 自分のところで留めようとしてるよね?


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