真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 ただの猫扱いで終わってたらこっちが複雑な気持ちだったから、綺麗に収まってくれてよかったよ。


 一悟くんに事の顛末(てんまつ)を語ると、「なんとなくそうなのかなとは思ってたよ……」と苦笑していた。


 彼も有明くんのことは心配していたらしい。


 なんでも、最近『ねこのきもち』を読み始めていたとか……。


 ……あれ。人間の木葉ちゃんに、恋してるんだよね?


 口に含んだグラタンの味が消えた――そんな数日後。



「――めるでしょ! 有明に変なこと吹き込んだの!」



 わたしの家に木葉ちゃんが押しかけてきた。


 後で怒られそうだなぁ~とは思ってたけど、まさか直接来られるとは。


 不機嫌全開の木葉ちゃんを招き入れ、わたしの部屋で話を聞くことした。


「別に、話を聞いただけだよ~? それとも、有明くんに何か嫌なことされたの?」

「嫌……っていうか、おかしいじゃん!」

「おかしい?」

「そう! 有明があたしを好きとか、おかしいでしょ!?」

「え~? おかしいの?」

「だ、だってあたし、嫌われるようなことしかしてないし……!」


 う~ん……まぁねぇ。


 あからさまに拒絶したり、顔を合わせないようにしたりね。


 いくら猫っぽいって言っても……やりすぎではあったかも。


「確かにおかしいかもしれないけど、有明くんが木葉ちゃんに恋してるって言ってるんだから、そうでしかないんじゃないかなぁ」


 人の気持ちをこっちで勝手に決めることはできないよね~。


「有明くんが彼氏になるのは、ダメなの?」


 有明くんが木葉ちゃんを好き。それは、はっきりした。


 次は、木葉ちゃんが有明くんをどう思ってるかだ。


「だ……ダメ。だって……」


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