真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
「お、おれっ……僕! めるさんとお付き合いさせていただいている周一悟と申しますっ……!」
「初めましてめるの母です。嫌いな食べ物はありますか?」
「へっ……? な、ないです」
「そうなの。えらいわね~」
「あ、ありがとうございます?」
というような様子で無事お母さんと一悟くんの挨拶を済ませ。お母さんは仕事に戻っていく。
一悟くんは次に迫っているお父さんとの対面予定でカチコチになりながらお母さんのご飯を食べている。
「アノ、ゴ飯非常二美味デスト、オ伝エクダサイ」
「わかった~」
自分より緊張してる人がいると落ち着いちゃうね。
お母さんと話すのも、お父さんと話すのも。
回数がそんなに多くないからか、毎回緊張してしまっていた。
二人とも忙しそうに動くから、わたしとの会話は邪魔なんじゃないかなぁって思って。
でもそうじゃなかったんだなぁってわかった。
それだけで十分嬉しいのに、一悟くんのことも歓迎してくれている。
お父さんが帰ってきたら……一悟くんも入れて一緒にご飯を食べられる日がないか、聞いてみようかな。
ロボットみたいにぎこちなくご飯を口に運んでいる一悟くん。
わたしの緊張も一身に背負っているみたいで心が軽くなった。
……ありがとうね、一悟くん。
「ハジメマシテッ、周一悟デスッ」
「めるの父です。周くん、うちでは洗濯物をこう干しているよ」
「ハイッ」
「覚えておいてね」
「は、はい……? わ、わかりました」
洗濯物のシワを伸ばしながら微笑むお父さんは、なんだか少し怪しかった。
ものすごく、一悟くんを品定めしていたというか。
目の奥が笑っていなかったのは、一悟くんには内緒にしておこうと思う。