真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
「大丈夫だと思うよ。気付いてなかったんだろうけど、羽入さ……め、めるのときも同じような感じだったから」
まだ名前呼びが定着しない一悟くんが、下校しながら教えてくれる。
今日から完全に登下校は二人きり……の予定。有明くんが強引に木葉ちゃんを連れていったから、どうなるかは木葉ちゃん次第だけど。
でも木葉ちゃんには、少しくらい押し強い方がちょうどいいのかもね。
「わたしのときも、って?」
「俺と付き合って、嘆いてる男子は多かったよ」
そうだっけ? 全く心当たりがないなぁ。
「一悟くんを好きな子じゃなくて?」
「え……俺は、モテないよ」
「ふふ、うそだぁ」
謙遜にしてもやりすぎなくらいだよ。
わたしだけが一悟くんを好きなんてそんなわけは、ないもんね。
「ほ、ほんとだってば。告白されたことなんてないしっ、よく言われるのは『男友達でちょうどいい』ってやつで……」
必死に否定されたら、余計怪しく思えちゃうなぁ。
でも、男友達かぁ。まぁ確かにそんな感じはするよね。
無害そうっていうか、安心感があるっていうか。
ただそれって、友達としての一悟くんしか知らないからだよね。
「じゃあ、わたしは運が良かったんだね~」
初めは、わたしより一悟くんのことを好きな人はたくさんいて、ふさわしい人も他にいるんだろうと思ってた。
今はね、誰にも渡したくないんだ。
一悟くんの手をぎゅっと握って顔を見上げる。
「わたしを好きになってくれてありがとう、一悟くん」
笑いかけると、かあっと一悟くんの頬が赤くなって。
「それは、こっちのセリフなんだけど……」
照れ臭そうに、微笑んでくれた。