真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


「ね、ちょっと寄り道してもいい?」


 わたしのその一言で、場所は変わってショッピングモールへ。


 だってもうすぐ一悟くんの誕生日だから。


 プレゼント自体は目星を付けていないわけじゃないけど、やっぱり本人の意見も必要かなって。


 サプライズをするのは一悟くんの好みを完全に把握した頃にしたいなぁ。


「一悟くん、何かほしいものある~?」

「ん? 俺?」


 一悟くんは急に話を振られて不思議そうにしている。


 ただ買い物に付き合ってるだけだと思ってるのかな。


「そうだなぁ……あ、折り畳み傘ほしい。カバンの中に常備する用に買おう買おうと思ってるんだけど、いつも忘れちゃうんだよね」


 わぁ、実用的。


 自分の誕生日、もしかして忘れてる?


「そういえば母さんがもうすぐキッチンペーパーなくなるって言ってたから、それも買っていこうかな」


 おつかい始まっちゃった。


 一悟くんから発されるのは生活感のある単語ばかり。


 ほしいものはほしいもので間違いないんだけど……。


 誕生日プレゼントとしては、向いてないかも。


 うぅん、これは、わたしの意図に全く気付いてないねぇ。


「そうじゃなくてね、一悟くん」

「?」

「プレゼント、何かほしいものある?」


 今度はちゃんと質問の意味も交えて聞いてみる。


 一悟くんは一瞬ポカンとした後、


「……あぁ!」


 と大きな声をあげた。


 気付いてもらえてよかった~。


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