真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
一悟くんの誕生日当日、彼の机の上には大量のお菓子が積まれていた。
なんか、前にも見たねぇこの光景。
クラスメイトは教室に入ったわたし達を確認すると、ピタリと時間を止め――。
一斉に笑顔を向けてきた。
「周! 待ってたよ!」
「もう置くとこないから手渡しさせろ!」
「誕生日おめでとう!」
隣にいるわたしまで囲まれちゃった。
一悟くんは嬉しそうにプレゼントを受け取っている。もう手の中は溢れかえりそうだ。
人気なのは、いいことだよねぇ。
……うん。
…………う~ん。
………………もやもや。
わぁ、だめだめ。こんなことで嫉妬しちゃうなんてよくないよ。
放課後はいっぱいイチャイチャするんだから、我慢。
がまんがまん……できないね。
楽しくお話してるところを邪魔したくないけど、けど。
ちょっとだけ。
控えめに。背中の部分、一悟くんのシャツを摘まむ。
一悟くんがそれに気付いてわたしに目線を向けた。
わたしはもうとっくに、一悟くんがいなきゃダメ人間になっちゃってるから。
少しくらいは、こっちにも意識を向けててほしいなぁ。
背中に人差し指を押し付ける。
みんなにバレないように指を滑らせて、文字当てゲーム。
「……! っ、」
小さく声を漏らす一悟くん。
みんなからは見えてないんだから、声出したら変に思われちゃうよ?