真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛



「おいで~」


 ポンと一回太ももを叩く。


 手を広げて待ち構えると、ころんと寝転んで、わたしの太ももに頬を擦り寄せた。


 腰に手を回す力は優しい。


「っ、は、恥ずかしい」

「ふふふ、大丈夫。わたししか見てないよ」


 ふわふわ揺れる髪の毛を撫でる。


 ゆったりとした時間が流れていく。


「お誕生日、おめでとう」

「……ありがと」


「一悟くんはいつも周りの人のことをたくさん考えて、すごいよね。あの日も、みんなに心配させないように一人で保健室に行こうとしてたんでしょ?」

「え、あの日って……?」

「初めてお話した日だよ」

「……は、え!? 覚えてたの!?」


 バッと顔を上げて驚いている一悟くんに笑いかけた。


 覚えてるよ~。結構印象的だったから。


 階段で落っこちそうになってる人なんてなかなか見ないからね。


「な……、そ、そか、あのときから俺、めるの記憶に残ってたんだ……」

「一悟くんも覚えててくれたんだね~」

「いや、だ、だって……そのときから好きだから」

「あ~! そうだったんだ」


 そっか、わたしが助けたから好きになってくれたんだ。


「わたしもその日から、一悟くんの頭撫でてみたいなぁ~って思ってたんだった」

「あ、頭……。いや、頭でも嬉しい、です」

「今は、全部好きだよ?」

「……」


 無言でのそりと起き上がる一悟くん。


 あれ、もう膝枕は終わり?


 わたしはもうちょっとしてたかったけど。


 あんまり寝心地がよくなかったかな?


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