真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 彼女の言ったことは正しく、クラスメイト達が一悟くんみたいに頬を染めてわたし達の光景を眺めていた。しかも、なぜかこそこそと。


 一悟くんが余計に恥ずかしがっちゃうかと思って、わたしはみんなとアイコンタクトして目を逸らすようにお願いしてみる。


 でも、それを一悟くんが阻害してきた。


「みんな、俺……羽入さんと付き合ってる」


 あまりにもあっさりとした宣言だったので、誰もが状況を飲み込めずに教室が一瞬シンと静まる。


 それはわたしも同じで、なんだか珍しく緊張してしまった。


 一悟くん、こういうのは大丈夫なんだねぇ。


 わたしだって隠そうと考えてたわけじゃないけど、ここまで大胆にするつもりはなかったからビックリしちゃった。


 次の瞬間、クラスメイトがわっと騒ぎ出す。


 一悟くんがあれよあれよとみんなに引っ張られて、盛大に祝われ始めた。


「よかったじゃん、周!」

「ずっと可愛いって言ってたもんな~!」

「おめでとーっ!」


 みんなに囲まれてはにかむ一悟くん。


 あ~……取られちゃった。


 まだ手のひらに残っているふわふわの感触を閉じ込めるように、わたしは手を握った。


 一悟くん、人気者なんだなぁ……。


 わたし、一悟くんのことはまだまだ知らないことだらけだ。


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