真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 席に座ってわたしを見上げる二人。


 わたしは手の中のアメ玉をバラッと机の上に落とした。


「有明くん、これあげるねぇ~」


 名前を呼ばれた有明くんがうろたえた様子で自身のことを指差した。


「お、俺に?」

「昨日帰るときに居づらそうだったから、それのお詫びだよ」

「そうか……気にしなくてもよかったんだが、せっかくだしありがたくいただこう」


 と言ってそろりと隣に目を移し、


「……かと思ったが、やはり遠慮しよう」


 目を伏せて拒否してくる。


 有明くんの隣では、一悟くんが寂しそうに眉を下げていた。


 自分ではそんな顔しているのに気付いてないかもしれない。


 わたしは少し考えて、一悟くんにも体を向けることにした。


「一悟くんもいる? いっぱいあるからいいよ~」

「えっ、いいの!?」

「うん。それなら有明くんももらってくれるかな?」


 はい、と有明くんに今度は手渡しをする。


 彼はやっぱり一悟くんのことを気にしながら、目線をわたしと一悟くんに往復させて最後に受け入れてくれた。


 次はハラハラしている一悟くんだ。


 有明くんのときと同じように机からアメを拾う。


 控えめに手のひらをお椀にしている一悟くんのところへ届ける――その前に。


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