真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
「一悟くん。わたしからお菓子もらえるの、嬉しい?」
「あ、当たり前だよ!」
「みんなからの大量のお菓子と、どっちが嬉しい?」
「へっ?」
わたしは笑顔のまま表情を崩さないように、一悟くんの返事を待つ。
一悟くんは、わたしが今にも落としそうに摘まむアメを見て――
それまでお椀にしていた手をやめると、アメを手に取ると同時に、わたしの手も包み込んだ。
「そんなの、羽入さんからの方が嬉しいに決まってる! 俺がほしいのはお菓子じゃなくて、羽入さんからのプレゼントだから……っ!」
そして、真っ直ぐとわたしを見つめてくれた。
ほわっと心が満たされて、まだお弁当を食べ終わってないのにお腹いっぱいになる。
「……そうなんだねぇ」
「本当は、俺だけにくれてたらもっと嬉しかったけど……っ、我慢、するから!」
「そっかぁ~」
この先の言葉をもっと聞きたい気もするし、聞いたらコップの水が溢れちゃうような、危険な予感がした。
なんでこんなに、嬉しいんだろうなぁ……。
そんなこと言われたら、他にも色んなものをあげたくなっちゃう。
じわじわと増していく一悟くんの温度を感じていると、いつの間にかもやもやが消えていることに気付く。
あ~そっか。これ、そういうことだったんだ。