真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
どうやったって……大好きなんです
待ち合わせ時刻は十三時。
場所は駅の中に入っている本屋さん。
一悟くんから送られてきたメッセージを眺め、待ち合わせの本屋さんへ足を進める。
一面に広がるお店に目を向けながら、ガラスに映る自分の姿を確認していった。
服装は淡いピンクのワンピース。裾がふんわりと広がっていて可愛い。生地も手触りが良くって、お気に入りだ。
髪型は、毛先を少しだけ巻いて下ろしてみた。普段から髪は巻いてるけど、学校では軽く二つにまとめてるから雰囲気は変わる。
後はメイクも。一悟くんの好みがまだわからないから、今日はナチュラルめにした。
これも全部、一悟くんが喜んでくれるかなって考えて。
考えれば、他人のためにおしゃれをしたのは初めてかもしれない。
本屋さんの中に入って、一悟くんのことを探す。
そこまで大きなところじゃないので、背の高めな一悟くんはすぐに見つけることができた。
本棚に向かう後ろ姿。制服じゃないから、やっぱりいつもと違って見える。
刹那、心にほのかなくすぐったさが宿った。
今すぐに彼の背中に寄り添いたい。そんな衝動が支配する。
わたしは、その衝動を抑えられなかった。
「一悟くんっ」
一悟くんの背中にそっと手を添えながら、後ろから顔を覗き込む。
ビクッと体を揺らすと、一悟くんは手に持っていた本を戻した。
なんの本を見てたんだろう。