真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛



 電車を乗り継いでたどり着いたのは、動物園だった。


 動物園……! モフみがいっぱい……!


 目を輝かせている間に受け付けは終わっていて、現在は入場口の中に立っている。


 パンフレットを手に取って、隅々まで目を通す。


「一悟くんっ、どこから行こっか~!」


 顔を上げると、一悟くんがわたしを見ていた。


 その眼差しが今までと違って見えたから、体が固まる。


 わたしのことが大好きっていう瞳、それは変わってない。


 でも、熱っぽさが増したような……。


「一悟くん?」


 間髪入れずにもう一度声をかけた。


 見られ続けていたら、また何かが溢れてきそうになってしまうと思ったから。


 一悟くんはわたしの声にハッとして、口元を手で隠す。


「俺の彼女が夢みたいに可愛くて、幸せに浸ってました……」

「えっ……」


 なんか……困っちゃうな。


 いつもならすぐにお礼を返すところなのに、なぜか先に感じたのはそんな感情だった。


 自分の気持ちがよくわからないのが怖くて、頭の中で軽く首を振る。


「あ、ありがと~……」


 ごまかすように笑顔を作った。


「とりあえず、歩いてみよっか」


 そして足早に歩を進める。


 じっとしているのは息苦しい。


 一悟くんに背中を向けたら、手首を掴まれた。


「あの、手、繋いで……いい?」

「う、うん……いいよ~」


 ゆっくりと絡まっていく指。


 じわっと胸の奥で何かが滲んだ。


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