真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
……なんなんだろう。
嬉しいのは事実なのに、それより戸惑いが上回ってしまう。
可愛い動物達を見ることより、繋がった手が妙に気になって仕方なかった。
「羽入さん、見て。うさぎのふれあい体験だって!」
一悟くんの指差す先では、柵の内側でふわふわのうさぎが密集して一つの綿になっている。
それが触れて、餌やりまでできるらしい。
「いいね、行こ~」
わたしはうさぎに興味のあるふりをして、意識を逸らした。
一旦、うさぎに癒やされて心を落ち着けよう。
そしたら、自分の気持ちにも整理がついて理解できるようになるはず。
「うわぁ……ふわふわだ」
一悟くんがうさぎに触って柔らかく笑った。
へにゃりと眉を下げて、愛おしそうにふわふわの毛並みを触っている。
いいなぁ……。
そんな言葉が浮かんできたから、わたしもうさぎの背中に手を伸ばした。
手触りが気持ちよくて、癒やされる。
でも、なんとなく物足りないような、気持ち悪い引っかかりも覚えた。
「う~ん……あっ」
隣をちらり。すっかりうさぎに夢中になった一悟くんがにんじんをあげているところで、下を向いている。
学校より丁寧にスタイリングされた髪の毛。見た目のモフみは上がってるけど、実際はどうなんだろう。
と考えていたら、いきなり一悟くんが頭を上げて視線がかち合った。