真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 わたしは食い気味に否定する。


「ううん。わたし、もっと一悟くんのこと知りたいよ」


 それに、それはむしろこっちの台詞で。


 付き合ってみて、もし思ってたのと違うって思われてたら。


 ほんとは別れたいのに、自分から告白した手前言い出せなくなってたらって……不安だ。


 あ……わたしって、自分で思ってたより一悟くんのこと気に入ってるんだなぁ……。


 今さら自覚した。


 そう考えると、繋がってる手が気になるのも、もしかして。


「そっか……よかった」


 ふわりと花のように一悟くんが笑う。


 わたしの中のコップから水が――溢れた。



「わたし……一悟くんにドキドキしてた、かも」



 告白されたときも。


 アメを受け取ってもらったときも。


 そして、今も。


 全部全部、心がじんわり温かくなったと思ってたあれは、ドキドキしてたんだ。


「え……!? 本当!?」

「うん……手を繋ぐのって、緊張するね~……?」


 一悟くんみたいに体が火照ってきた。


 ドキドキする感覚を知らなかったって、わたし無知すぎるよねぇ……。


「そ、そうなんだよ! 好きな子と手を繋ぐって、めちゃくちゃ勇気いるし……うああ、とりあえず、この気持ちが俺だけじゃなくてよかった……っ!」


 パアッと明るくなって、嬉しそうに噛み締める一悟くん。


< 32 / 167 >

この作品をシェア

pagetop