真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
色々回った最後に、お土産コーナーに寄った。
木葉ちゃんに何か買って帰ろうと物色していたところで、うさぎを模した毛玉のマスコットが目に入る。
白とピンクの二色。黒いビーズのつぶらな瞳が、こっちを見て誘ってきていた。
「可愛い~……」
わたしはピンクの方を手に取る。素晴らしいモフみにうっとりと見とれて、頭の中で一悟くんの笑顔を思い浮かべた。
この子、どことなく……
「羽入さんみたいだね」
一悟くんが言った。わたしと真反対のことを。
「え~? わたしは、一悟くんっぽいな~って思ったよ?」
「お、俺? 俺はこんなに可愛くないよ……! ふわふわした雰囲気とか、羽入さんに似てると思うけど……?」
「一悟くんは可愛いよ? 丸くてきゅるんとした目がそっくりだと思うけどなぁ~?」
ムッと不満そうな顔をして、一悟くんは白い方のうさぎを持つ。
「じゃあ……俺は勝手に羽入さんだと思ってこれ買うから。羽入さんも、そっちを勝手に俺だと思って持ち歩いてよ」
一悟くん……。
頬の色からして、勇気を出して言ってくれたであろう提案にじんわりと熱が滲んだ。
これがドキドキの証拠だと気付いているわたしは、その感覚が気恥ずかしくて顔を伏せる。
「うん……そうするね」
学校のカバンにでも付けようかな。
ピンクのうさぎ。よく顔を赤くする一悟くんにそっくり。
……でも、やっぱり犬の方が似てるかも。