真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 その結果、なぜか羽入さんは俺の恋人になった。


 デートをした。手を繋いだ。後は、少しだけ……腕を組んでもらえた。


 付き合えただけでも奇跡だというのに、俺はどんどん欲深くなっていく。


 羽入さんの言葉、行動、表情。


 全部、俺だけに向けてくれたらいいのに……なんて。


 羽入さんにちゃんと好きになってもらえるまで、俺から過剰に求めることはしちゃダメだ。


 わかってる。わかってるのになぁ……はぁ。


 俺ってダメなやつ……。


「一悟くん、帰ろっか~!」


 ホームルームが終わって、羽入さんは笑顔で俺に駆け寄ってきた。


 ただそれだけでも俺はときめきを抑えることができない。


 可愛い。……はあぁぁ可愛い。


 抱きしめたい――ダメだ。


 キスだって――もっとダメだ。


 毎分毎秒、煩悩を滅却することに必死で、羽入さんの隣に立つことがやっとだった。


 こんな気持ち、もしバレてしまったら引かれるに決まってる。


 羽入さんから信頼してもらえるような立場になるためにも、我慢しなければならないのだ。


 隣で歩く羽入さんのカバンには、デートで買ったうさぎのマスコットが揺れていた。


 俺もこっそり付けてみたら、「お揃いだねぇ~」って嬉しそうにしてくれて。


 笑顔が眩しすぎて、成仏するかと思った。


 苦しい。羽入さんが好きすぎて。


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