真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


「ふふっ……」


 そんな羽入さんはといえば、さっきから俺の様子を伺ってはニコニコと笑みをこぼしていた。


 何か良いことでもあったのかな……。


「どうしたの、羽入さん」


 聞いてみれば、彼女は指を唇に当てて上目遣いをしてくる。


「え~だって、やっと一悟くんと一緒に帰れる日なんだよ? 楽しみにしてたんだよねぇ」

「……っ!」


 心臓がバックンと大きく音を立てた。


 仕草も、言葉も、喋り方も、全てが俺の煩悩を刺激してきたのだ。


 落ち着け、俺……っ!


「今日はいっぱいお話しながら帰ろうね~」


 なんでこんな最高の時間が週一なんだ……!


 自分で決めておいて、さっそく後悔している。


 本当なら、毎日一緒に帰りたいところだ。


 しかし、俺の親友――有明(ありあけ)(ただし)がイケメンすぎるがゆえに、その願いは打ち砕かれてしまったのだ。


 彼が一人でいると、女子達が放っておかない。


 アイツも真面目なやつなので、ちゃんと相手をしてしまう。そしたら心労がものすごいらしい。


 なので俺は女子避けと断る口実のために、なるべく正と一緒にいるようにしているというわけだった。


 正は何も悪くない……思わず恨んでしまいそうなところを落ち着ける。


 逆に考えるんだ。週一だからこそ、その日が来たときの喜びが数倍に膨れ上がるんだと。


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