真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 俺が何か言うのを待っているのか、じっと目を見つめてくる羽入さん。


 何か言わないと……でも、思ってることをそのまま言うのは(はばか)られる。


 そうだな、羽入さんが俺にしてくれることを返すくらいなら……。


「お、俺も羽入さんの頭を撫でてみたり、とか……?」


 セーフ……だよな?


 羽入さんは雰囲気をパァッと明るさせて、俺の腕を持つ力を強くした。


「ほ、ほんと……っ?」

「え……」


 羽入さん、俺に頭撫でられたら嬉しいの?


「それなら全然いいよ~! はい、どうぞ」


 そう言って頭を差し出してくる。


 ゴクリと唾を呑む。


 恐る恐る、組んでない方の腕を伸ばして……彼女の柔らかそうな髪に触れた。


 てっぺんから下の方に滑らせるように撫でる。


 なっ……なんだこれ。


 さらさらなのにふわふわで、いつまでも触っていられる極上の触り心地。


「ん……」


 羽入さんも気持ち良さそうに目をとろんとさせて、時折声を漏らす。


 それだけでもやばかったのに、


「ふふ……きもちい」


 妖艶に笑うものだから、俺の心臓が爆音を鳴らした。


 手が勝手にピクリと動く。


 あ、これ、やば――


 浮かんだ煩悩を振り切って、パッと手を離した。


「あっ……やめちゃうの?」

「も、も、これ以上は……勘弁してください」


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