真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
羽入さんは、ずるい……っ!
突然わたし達の前に現れた男の子。
名前は、わからない。
どこかで見たことある気もするけど……どうしても思い出せなかった。
も~……。せっかく、もっと一悟くんと仲良くなるチャンスだったのに。
邪魔されちゃって、少し残念になりながらも男の子に体を向けた。
「わたしに何か用かなぁ?」
「羽入さん、そいつと付き合ってるって本当ですか!?」
彼は人差し指で一悟くんのことを指して、わたしにずかずかと詰め寄ってくる。
「そうだけど……」
「どうして僕じゃダメだったんだ!?」
「え~……?」
必死の形相。
大きな声。
一人で突っ走っちゃう感じ。
あ~、なんか、思い出してきたかも……。
――好きです! あなたのためなら、グラウンドに遊園地を建てられます!
とか、前に変な告白をされたような。
よくわからなかったから、断っちゃったんだよねぇ。
困ったなぁとまごついていたら、彼はもっと近付いてきてガッと力強くわたしの肩を掴んだ。
「きゃっ」
衝撃に驚いて思わず声が出る。
その瞬間、一悟くんの目付きが変わった気がした。
「顔なら僕だって負けてないと思うし、こんなやつよりも羽入さんを好きな気持ちは大きいはずなんだ!」
それは、本当かどうかわからないけど……。
……こんなやつ、かぁ~。
少しもやっとしていたら、わたしの肩を掴む腕を一悟くんが持った。