真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
「やっぱり認められない! 羽入さん、考え直してみてくれないか!?」
「いや早くその手を退けてよ」
「いでででっ!」
だけど一悟くんがその手を掴み上げたことで、肩の重みは解消された。
一悟くんは冷ややかにななしくんを見下ろしている。
そんな顔もできるんだなぁ……。
珍しい表情に目を奪われていると。
「なっ、なに急に怒ってるんだっ!」
「……彼女との時間邪魔されて、怒らないわけないでしょ」
二人が口論を始める。
周りの目も気になるし、そろそろわたしがはっきり言わないといけないかな。
……わたしからも、あなたがダメだった理由を教えてあげるね。
わたしは――一悟くんに後ろから抱きついた。
二人の視線がわたしに移る。
それを見計らって、一悟くんの背中から顔を出してにっこりと笑顔を向けた。
「ごめんなさい。わたし、一悟くんがいいの」
それに、わたしも一悟くんとの時間を取られてほんのちょっと嫌な気持ちだから。
その点においてもお断りしちゃうかな。
「じゃあね~」
呆然としているななしくんに手を振って、一悟くんと駅を後にする。
改札は通ることなく、そのまま駅の外へ出た。
「え……は、羽入さん、帰らないの?」
一悟くんもそれを不思議に思ったみたいで、困惑しながらもついてきてくれる。
わたしはスカートを翻して一悟くんを振り返った。