真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


「わたしは、一悟くんとまだ離れたくないな~って思ってたんだけど……」

「っ……」

「一悟くんは?」


 問いかければ、一悟くんの顔がぐんぐん紅潮していって、


「羽入さんは、ずるい……っ!」


 グイッと腕を引っ張られたかと思えば、次の瞬間には温もりに包まれていた。


 間近で早めの鼓動がドクンドクンと伝わってくる。


「俺、我慢してたのに……っ」


 ぎゅーっと力いっぱい抱きしめられて、少し苦しい。


 硬い胸板に頬を押し付けられて、身動きが取れなくて……。


 あれ。


 おかしいなぁ。


 ……なんだかすごく、ドキドキが止まらない。


 自分から抱き付くのは平気だったのに、された途端にこうだった。


 どうしよう、どうしよう。


 むりかも。



 ――むり。あんな近くで、有明の顔見られない。



 木葉ちゃんが言ってたあの言葉。


 意味……わかっちゃったかも。


「羽入さん……」


 そんなときに、一悟くんの甘いささやきが投下。


 急激に体温が上昇して、体が固まってしまう。


 こ……困っちゃうなぁ。


 だって、いつものドキドキとはちょっと違う気がするから。


 いつもはもっと心地よくて、あったかくて、ずっとこうしていたいと思うのに。


 今は……すぐに離れたいくらい、むり。


「……? 羽入さん?」


 黙ったままのわたしに疑問を示すと、一悟くんは体を離そうとしてくる。


 あ……今、顔を見られるのはだめ……。


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