真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛
というわけで、昼休みになった瞬間一悟くんの席へ駆け寄った。
「一悟くん、あのね……?」
「どうしたの?」
「あの……」
…………。
喉で言葉が引っかかる。
えっ、と。
わたしも、一悟くんのこと……。
「……」
「?」
伝えようとすると、言葉が詰まって吐き出せない。
言わない時間が長いほど、言い出しづらくなるに違いないのに。
一悟くんが心配そうにわたしを見上げて来た。
座ってる一悟くんと立ってるわたしでは、自然と上目遣いになる一悟くんの視線。
そんな風に見られちゃったら、ドキドキしちゃってますます口の中が渇いていく。
なんで言えないんだろう。
周りに人がいるからかな?
それとも――まだわたし、自信を持って言えるほどじゃなかったのかなぁ……。
やっぱり今日はやめちゃおうかな。そんな考えが微かに浮かんだとき、
「……羽入さん、ちょっと移動しようか」
一悟くんが立ち上がって、わたしの手首を掴む。
されるがまま引き連れられて、木葉ちゃんに意識を向ける余裕すらなかった。
だってわたしの瞳には、とろけるような笑みを浮かべてわたしを見てくれる一悟くんしか映っていなかったから。