真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 そんな彼が、愛しい。


 わたしは静かに頷いて肯定した。


「……、……」


 一悟くんは唖然として何も口にしない。


 それから、だんだんと一悟くんの体重がわたしにのしかかってきて……えっ?


「わっ~!?」


 重さが耐えきれなくなったとき、わたしの体はよろめいた。


 位置を変えようとした足は見事にバランスを崩し、地面に背中が迫っていく。


 だけど倒れることはなかった。一悟くんがわたしの腰を引き寄せたから。


「……ひぁ、」


 触られたところがくすぐったくて、声が漏れた。


 その反応をどう思ったのか、追加ですり……と指を擦ってくる。


「い、一悟くん、そ、それだめ……」


 ぞわぞわと不思議な感覚が背中を走って、力が入らない。


 そんな一悟くんの表情は、赤いながらも真剣だった。


「両想いってことなら……」


 ぐっと顔が近付いてくる。


 唇が、当たりそう。


 一悟くんの熱い吐息が感じられた。


「俺、もう我慢しなくてもいい……ですか?」


 まるで獣みたいな、本能の剥き出しになった瞳。


 食べられちゃうかもしれない……そんな想像までさせてくるほどの。


 わたし今まで、一悟くんにたくさん我慢させてたんだね。


 抑えていたもの、全部。わたしにぶつけてほしい……。


< 56 / 167 >

この作品をシェア

pagetop