真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 ――――ぐう。


 邪魔された。


 お腹の虫に。


 一悟くんが真っ赤なまま、プルプルと震えている。


「……ごめん。……うぅ、かっこわる……」


 わたしから距離をとって自己嫌悪に興じる一悟くん。


 お昼まだだったもんね。食べる前に誘ったわたしにも非はある。


「一悟くん、戻ってご飯食べよ?」


 わたしから手を取って、ぎゅっと握る。


 それから、長くて角張った指の間に滑り込んで一本一本を絡めた。


「!」

「ふふ、ちょっとだけ~」


 口をパクパクと開閉する一悟くんに笑いかけて、ぐいぐい引っ張った。


「お、俺……幸せすぎて人生終わってもいい……」


 繋いでない方の手で自分の顔を覆って、一悟くんは絞り出したような声で呟く。


「え~だめだよ~? これからもっと一緒にいたいよ?」

「っ……うん……」


 素直に頷いちゃって、かわい~……。


 一分一秒ごとに増えていく、好きって感情。


 初めてだから、もっとじっくり育てていきたいな。


 でも、それで一悟くんが寂しい思いをしちゃったら嫌だし……。


「一悟くんっ」


 手を引きながら、少し前を歩く。


 一悟くんのことを振り返って、未だに手で顔を隠す彼に向かって笑いかけた。


「一悟くんのしたいこと、わたしもちゃんとしたいからね?」


 だから我慢なんてしなくていいよ。


 すると、一悟くんは勢いよくわたしを見て焦った様子で叫ぶ。


「なっ、なら……覚悟しといてください!」


 それに応えるように、わたしはもう一度笑った。


 うん、覚悟ならずっとできてるよ~。


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